国土交通省 無人航空機登録講習機関
登録番号:国空無機第 236461号 国空無機第 236462号
事務所コード:T0047001
近年、林業におけるドローンの活用が注目を集めています。「スマート林業」と呼ばれる活動の一環で、ドローンが積極的に活用されている状況です。
しかしながら、ドローンと林業の組み合わせといわれても、今一つピンとこない方が多いでしょう。そこで今回は、林業におけるドローン活用事例とメリットを紹介します。
最初に紹介する事例は、林業では欠かせない苗木運搬作業へのドローン活用です。
我が国の少子高齢化による労働力不足の減少は、林業にも大きな影響を与えています。従来、苗木の運搬作業は人が背負って運ぶことが一般的でしたが、省人化の必要性に伴い、苗木運搬用ドローンの導入を検討する企業が増えているようです。
専用ウインチ(巻き上げ機)や自立飛行機能を搭載したドローンを活用することで、危険かつ重労働な苗木運搬作業の効率化が図れます。最大で60Kgの苗木を安定して運ぶことが可能な共振防止装置も実装されており、安全な作業の実施が可能です。
ドローンの有効活用によって、以下のようなメリットが得られます。
苗木は数10Kgもの重量があるため、作業者には相当な負担がかかります。また、場合によっては危険な場所へ運ぶ必要があるなど、作業者側のリスクが高い点も問題でした。
しかし、苗木運搬用ドローンは60Kgまでの重量に耐えられるため、問題なく苗木を指定した場所へ運搬することが可能です。したがって、作業者の負担が大幅に減らしながら、連続した運搬作業が行えます。
株式会社マゼックスと住友林業株式会社が開発した苗木運搬用ドローンの実証実験において、人が実施した場合、64時間必要だった苗木運搬作業が、8時間で完了したという結果が出たそうです。つまり、人が行った場合に比べ、1/8の工数で作業が完了したことになります。
苗木運搬用ドローンの有効活用によって、工数と作業者の数を減らすことが可能なため、大幅な業務効率化につながるでしょう。
苗木運搬用ドローンは1名で操作ができます。前述した業務効率化の効果と合わせることで、人件費の大幅な削減が可能です。そのため、苗木運搬用ドローンの購入費用なども、比較的早期に回収できるでしょう。
林業ではさまざまな調査を行いますが、ドローンの活用によって、従来では難しかった作業が可能になります。
JDRONE社は特殊なセンサーとマルチスペクトルカメラを搭載したドローンを自社開発し、高精度のオルソ画像や解析データ、3Dデータを取得することで、非常に精度の高い調査が実施できます。
例えば、ドローンで撮影した空撮画像を活用することで、ヒノキやスギなどの樹種判別を行ったり、高精度オルソ画像と3Dデータの活用によって境界確認をしたりすることが可能です。また、マルチスペクトルカメラの画像から、伝染病の早期発見にもつなげられるでしょう。
調査にドローンを活用することで、以下のようなメリットが得られます。
前述した高精度オルソ画像と3Dデータ、マルチスペクトルカメラによって、調査の精度が飛躍的に向上する点がメリットです。
同社によると高精度オルソ画像の取得によって、ヒノキやスギを人の目でも判断できるレベルの調査が可能になります。また、マルチスペクトルカメラで植物の活性度を解析することができるため、樹種判別精度が99%以上まで向上するそうです。
ドローンを調査に活用することで、林業における調査の業務効率化が実現できます。
従来の人による立木調査では、3人で1日あたり1haの調査しか実施できなかったそうですが、ドローンの活用によって1日あたり25haの調査が可能になったそうです。つまり、1日に調査できる立木調査のエリアが25倍になるため、大幅な業務効率化につながるでしょう。
さらに、3Dデータを活用することで、現地の立ち合いも不要になる場合もあるそうです。
林業へのドローンの活用はまだまだ始まったばかりです。しかし、今回紹介したような業務効率化やコストカットなどのメリットは、今後の労働力不足を解決する手段として欠かせないものになるでしょう。
また、林業における就労者の高齢化も問題になっていましたが、ドローンという新しいテクノロジーの導入によって、若い労働者の台頭も期待されています。今後、ドローンの技術や機能もさらに向上することが予想されるため、日本中の林業で導入されるようになることは想像に難くないでしょう。
※参考サイト
出典:ドローンが林業の働き方を変える!林業用苗木運搬ドローンの5つのメリットとは?/ 株式会社マゼックス
出典:ドローン活用をめざす林業事業体をサポート! JDRONEが林業分野にかける想い/フォレストジャーナル