国土交通省 無人航空機登録講習機関
登録番号:国空無機第 236461号 国空無機第 236462号
事務所コード:T0047001
近年、我が国ではさまざまな場所に監視カメラが設置されるようになり、防犯対策に役立っています。しかし、警備や監視といった業務には、まだまだ多くの労働力を必要としているのが現状です。
少子高齢化で労働人口が減少する中、新たな警備・監視の手段としてドローンの活用が注目されています。そこで今回は、ドローンによる警備・監視の現状と課題、活用事例を紹介しますので、リソース不足に悩む警備会社の方は必見です。
ドローンを使った警備・監視の現状として、導入メリットや課題などについて解説します。
建物や施設で警備や監視をおこなう場合は、警備員が巡回することが一般的です。そのため、警備員の代わりにドローンを活用した警備業務実施の可能性が期待されています。
警備業務にドローンが活用できるようになれば、以下のようなメリットが実現できるでしょう。
・人手不足の解消
・人件費削減
・警備員が犯罪に巻き込まれるリスクの軽減
・人では立ち入りにくい場所の巡回が可能
また、ドローン巡回中は遠隔から状況を確認できるようになりますので、必ずしも現場に行く必要がないことに加え、スタッフ全員が屈強な警備員である必要もなくなります。さらに、ドローンに搭載したセンサーやサーチライト、スピーカーなどを活用することで、不審者に対する警告の実施や不審火などの異常を見つけることもできるでしょう。
ドローンは小型の航空機が上空を飛行するという性質上、警備や監視を実施する上では以下のような課題があります。
・天候などの影響を受ける
・落下する可能性がある
まず、ドローンを外部で飛行させる場合には、雨や風による影響が避けられません。特に台風など強風が吹く状況においては、ドローンを飛行させて巡回させるのは非常に困難になることが予想されます。屋内であれば問題ありませんが、警備や監視は365日継続する必要があるため、悪天候においても安定飛行ができるかという点が大きな課題です。
次に、繁華街やイベント会場、テーマパークなど多くの人が集まる場所の上空でドローンを飛行させた場合、落下して下にいた人にぶつかったり、最悪の場合、ケガをさせたりしてしまう可能性があります。よって、ドローンによる警備・監視は、人が少ない場所のほうが向いているといえるでしょう。
ドローンを活用した警備・監視に注目が集まっているのは、以下のような課題があるからです。
・警備業界の労働力不足
・警備業務の労働環境改善
警備業界は万年、労働力不足が続いています。その背景にあるのが、警備業務の厳しい労働環境です。
警備業務は真夏の暑い環境や冬場の厳しい環境はもちろん、豪雨や大雪でも実施しなければならないなど、非常に過酷な労働条件になっています。しかし、給与面については適正な対価とは呼べないレベルのため、募集しても人が集まりにくいのが現状です。
そのため、警備員を確保する手段として日雇い労働者に頼らざるを得なかったこともあり、社会保険に加入していないスタッフがいるといった問題も浮き彫りになっています。特に近年は我が国に海外から多くの人々がやってくることも想定されるため、警備・監視の質を上げることが急務な課題となっているのです。
そこで、警視庁や新エネルギー・産業技術総合機構(NEDO)が、ドローンを活用した警備・監視の可能性を検討するため、民間企業などと連携をはじめるようになりました。
現在、セキュリティ会社などを中心に実証実験などが行われている最中です。ドローンを使った警備・監視対策の活用事例を紹介します。
セコムは早い時期からドローンを活用した防犯に注力している企業のひとつです。
2012年に「セコムドローン」を発表して以降、山口県や神奈川県で警備システムとして活用をはじめています。ドローンに搭載したセンサーで不審者や車の情報を瞬時に撮影して、遠隔地にいるスタッフに送信することが可能です。
さらに、遠隔操作ではなく自立型のドローンの実証実験もおこなっているなど、警備の省力化が実現できると期待されています。
プロドローン株式会社も早くからドローンを使った広域巡回の実証実験を実施している企業です。
4台のドローンのうち2台を俯瞰ドローン、残りの2台を巡回ドローンと役割分担することで、広範囲の警備・巡回業務を可能にしています。これにより、不審者や不審火を早期発見し、セキュリティの強化につなげていく見込みとのことです。
「T-FREND」は同社のビルメンテナンス業務の知見を活かし、屋内の警備・巡回ができる自立型ドローンの開発を進めています。深夜の警備はもちろん、社内で残業するスタッフを監視して早く帰るように促すなど、幅広い活用方法に期待が集まる状況です。
過酷な警備業務の労働力不足を解消し、警備・監視レベルを上げるためにはドローンの有効活用が必要不可欠といえるでしょう。屋外での実施にはいくつか課題は残りますが、今後技術がさらに発展すれば、多くの場所でドローンによる警備・監視が実施されることでしょう。